2022/4/7



死後の面 都市の欲望の最終処分地 八王子 城山手 高尾墓地

ずるり皮剥けた皮下肉は桃色 後頭部が剥けた白骨

涼の音 木々の呼吸音

東屋の片隅にリボンのブローチひとつあり 傍にはひっくり返った沢蟹の血

青いゴムボールで遊ぶ三羽のカラスは 友達である


森に まずトラクターの道が出来るのだ

腹巻きをした木々 唐犬のようなフサフサ 竹は大きく流れゆれる

桜の花びらがそこに点を打ちながら 斜めにながれる


わずかな傾斜の横断の先におだやかな神社があり それが日吉神社

絵巻のように横に広がる 団地の布団 お相撲さんの浴衣

公園に舞い散った花びらが風に舞い上がる サザンカの円形


池のように波紋広がる 刷毛で払う 桜の花の軽やか 艶やか

バショウの木 くたびれて立つ


すべての団地は肌着色 

タンポポのカドミウムイエロー

ヴィーナスフローラ コノハナサクヤヒメの吐息

季節外れの風鈴は 死の呼鈴(ナースコール)


優しくないベンチ コンクリートの積層 しりぺたつめたし

花びらにうずもれるこうこつ かきつばたの首 もげ落ちる


3人の女子高生の自転車 キツネ色の髪流れる

ヒマラヤスギはデューラー バショウの葉 カマキリの手刀 クジラのペニス


サクラの花とともに去りゆく 長房商店街の追憶 無愛想

毛布をかぶった広大なあとち そこに真白い野良猫


符合するフィリピン娘とオノヨーコ

とまどい脚はもつれる 大型犬

印刷所入口 マリリンモンロー


# by koyamamasayoshi | 2022-04-07 13:55 | 日記

2022/4/6


ビヨウ けたたましいビヨウ

ヒヨドリ 四方八方の喧騒

白いサクラの花がすべて我がものらしく 木槌で壁を叩き

鉄パイプが地べたに転がる


晴れた ようやく寒い日が終わった 

地面を境に同じシルエットにした桜の巨木 

水平に中空を横たう 太い枝に青いコケが茂る


コゲラ 木をのぼる こんなふうに見上げたことなかったよ

枯れた古木に桜の白い花がひらひらからまる 

ヒヨドリの警戒網の下


乾いたイガグリが落ちないで45個残った 

こんな玩具が幼いころにあったよな

とにかくヒヨドリの喧しさ 

コゲラが幹でくるくる駆けまわって ゴツンゴツンとやっている


数年 自殺する木のことを考えている 悲観する木のことを考えていた


アリが活発に動く 寒気の波 つま先から ゾゾっと飲み尽くすように 這い上がる


風 クヌギの林を抜ける平たい風

クヌギ?ブナ?

ブナの根元は樹液で半ツヤのテラテラでうそくさい まるで遊園地のニセモノの木


ウグイス うまくなった 僅かひと月でこんなに上手になる

ホホ法華経

日蓮宗のお経を誦むんで 大事にされた


棕櫚の葉 帆船の如くはためき

音発する 繊細なピアニスト

その指 空気を振動させる


手帖についたちいさい虫 空にはコウガイビルののたうつ軌跡

その線中に芽吹く夏虫


丘の上 桜の記念樹

接木のような接合部に滴れたキャラメル色

大空を掴もうと腕を広げた 象肌の巨樹


うるさいヒヨドリは花に夢中 法華経だけが鳴いている


モルタルで固めてしまった階段 桜の白い花がそよそよ流れる

今度はハエともハチともつかぬ羽虫が手帖の文字をなぞり

小さな羽虫は我が耳を巣穴とて狙う



# by koyamamasayoshi | 2022-04-06 13:51 | 日記

2022/4/5


新入生 前に背負った青いカバン 

フィリピン娘らが桜でおどるオルゴール

清純な少女にかけられる 朗らかな朝のあいさつ


完成した橋 何も味はしない 老人たちのすまい 小さき庭

桜散り 若い男の登る階段 ザラメの四角 かわいい黒色


欄干の蜘蛛の巣に捕らえられた花びらは 78

米粒を頬張りたい水音 じいさんとばあさんの姿形の遊戯盤 竹と桜 空を切り抜く

桜の触手 幹の股に差し込まれた椿の紅 川の流れを設計す



白黒の合わせ鏡の婆さん二人 水無瀬橋 あばら骨

救急車に手を振る 狂少女


高山地帯の民族の 険しい眼差しを 八王子の子どもにもあるんだぜ


パウルクレーのガラス カッティングマットの上は 理容の文字


米 米 米 米 ばってん重ねた波ガラス

松の緑青 砂場の円形劇場 桜の一斤染 ジョットのビル

漆黒のタクシー おーいお茶

人造木の森 それはゴリラ園

平屋の屋根から鳥の骨がカラカラと転がり落ちた


入学式の男子高校生 バス停を去る短髪に花びら一枚

入学式 女子高校生のたくましきふくらはぎ





# by koyamamasayoshi | 2022-04-05 13:49 | 日記

9/29

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故郷に木下大サーカスが30年ぶりに帰って来ていた。大きなテントの存在感と見世物興行の非日常感はこの先の未来でも異物としてあって欲しい。夢とロマンのある外観に大人になってもワクワクした。
# by koyamamasayoshi | 2021-09-29 20:47 | 日記

9/27

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街頭に大きな蜘蛛の巣がかかっていた。
# by koyamamasayoshi | 2021-09-27 23:48 | 日記


小山真徳 展覧会情報


by Koyama Shintoku

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