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きんた

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近所に秋田犬を飼っている家がある。俺はそいつを「きんた」と呼んでいる。ほんとの名前は知らない。犬らしく媚びを売ってしっぽを振ったり、単純な犬らしくやたらめたら吠えかかって来ない。きんたは、大体黒目がちな眼を顔や体をこっちに正対することなく流し目をくれるのだ。たまにこっちが手を振ったりするとワオワオと遠吠えの様に吠えてくる。ついこの間は、きんたの前を歩いていると俺の後方を見つめて、見えざるものに吠えかかっているようだった。今日はスーパーで買ったさつま揚げを齧りながらきんたの前を見せびらかして歩くという名案が浮かび、実行した。なぜか通り過ぎる前から先行して吠え出した。不思議なやつだ。
by koyamamasayoshi | 2017-02-28 23:06 | 日記

2/28

ポレポレ東中野「人生フルーツ」13:00の回を観る。上映前の予告映像から、隣の席のおばさん二人の会話がうるさい。その上独り言も激しい。周囲に自分の気持ちを顕示するタイプの独り言だ。あまりにうるさいので注意した。
あるラジオでパーソナリティがこの映画を絶賛し感想を述べているのを聴きやって来たが、正直期待はずれという気持ちだった。ラジオでは、かつては住宅公団のエースだった人物が、生産性重視の時代の流れに逆らうような住宅プランを提案するが弾かれてしまい、その後夫婦でこの時代の波に抗うように小さな里山のような自宅で自給自足して暮らしている…という前情報だった。その部分にとても興味を抱いていた。実際映画を見ると「良い部分」「正当性」「スローライフ」ばかりに視点があたり、対抗するような描写に欠けているなあと感じる。この映画の中に登場するご夫婦に「悪い部分」「醜い部分」を求めているということではなく、「良い部分」ばかりを羅列するような映画の作り方はどうなんだろうと思う。ドキュメンタリー映画としては作り手の気持ちが撮影対象に近づき過ぎているように思えるし、極めてフラットな感情で淡々と撮影していたらもう少し違っていたと感じてしまう。何か一方向に向かい過ぎている空気が嫌いなのだ。
その上、この映画を観に来ているおじさんおばさんの眼球に写る、光り輝く憧れのスローライフの見本の像がスクリーンに覆いかぶさり見ていて段々と弾かれていくのだ。

社会批評性の高いドキュメンタリー映画を観ているだけで、その問題に一瞬向き合えていると錯覚する劇場の空気。そして向き合えている自分を自己顕示する独り言を発するおばさん達。ドキュメンタリー映画を観るときは本編以上に周囲の空気感が気になるものだ。
by koyamamasayoshi | 2017-02-28 22:37 | 日記

2/27

ああ、憂鬱だ。物事に移る、動き出す前の不安と臆病な気持ちの中にいる。
いつ出来たのか舌の奥に硝子の欠片のような赤い腫れ物ができている。舌の奥の見えない奥にも違物感がある。お腹は減るのにものを食べるのが楽しくないので、より下向いた気持ちになる。
昨日、妻に梶井基次郎の文庫本を買ってもらった。こどもまんが文学と、昭和4,50年代のサザエさん、それから初回のちびまる子ちゃんの動画を見た。いまの単純な気持ちに入ってくる。沁み入った。
妻と近所の川を散歩した。一生を人は(俺は)何で埋めるのか。憂鬱になるとこの問いばかりが浮かぶ。憂鬱になるとというか、忙しく目まぐるしい時には単に忘れているもので、常に隣にある問いだ。おじいさんが自転車を押し散歩している。お婆さんが犬を連れて散歩している。ベンチに座っている人。河岸工事を眺めているひと。白鷺を見ているひと。川原でグランドゴルフをしているひと。対岸から双眼鏡でカワセミを探しているひと。
生きていく中で何か大変なこと、面倒くさいこともありつつ、それを何で誤摩化すか。誤摩化したことで誤摩化したと悩んでしまう俺は未だ誤摩化すものを探せていない。
by koyamamasayoshi | 2017-02-28 00:45 | 日記

2/22

朝8時、旅館近くのバス停から金沢行きの特急バスに乗る。車中ほとんど寝ていると2時間半ほどで金沢駅に着く。コインロッカーに荷物を預け、一日乗車バス券を買い求めて市内を観光する。
金沢21世紀美術館へ行く。「トーマス・ルフ」と「デザインと工芸の境界」の企画展をやっている。後者の展示は六本木でやっているデザイン企画展と似たような印象を受けた。シリーズごとに分けられたトーマス・ルフの企画展は夜のシリーズ、新聞切り抜きシリーズなどが好きだった。作品の概要文が寄せられているが作者がどういう思考で作っているのか、興味深くそして考えさせられた。
常設展は、記念撮影をする為の観光スポットのような印象だ。作品を撮影する気分にならないので、この美術館に占めている空気感には馴染めず去る。
タテマチ商店街~幸町~桜橋~寺町を歩く。途中、狭いクランクで立ち往生している車を、助けようとするが、切り返しの下手な俺の案内ではやはり申し訳ない結果に導いてしまった。片町~長者町~香林坊。バスに乗りひがし茶屋街で降りるが、女子ばかりで何だかうんざりしてきた。女の子が嫌いでなく、女子旅の空気感が苦手だ。観光マップに菓子木型美術館の文字を見つけ向かう。骨董市で頻繁に見掛ける菓子木型が壁に沢山陳列されている。そしてなぜだか分からないが「2001年宇宙の旅」のメインテーマ曲、もしくはボブ・サップ入場テーマ曲である「ツァラトゥストラはかく語りき」がBGMで掛かっている。木型がモノリスには見えないし、ボブ・サップのようなビースト感を感じることは出来ない。
尾張町~近江町市場~武蔵町を歩いて駅に戻る。金沢カレーが食べたいのに、カレー屋が見つからず15時まで食いっ逸れる。駅でゴーゴーカレーを食べたあと30分の寂しい道を歩いてユナイテッドシネマに映画を見に行く。「この世界の片隅に」17:35の回をみる。客は4.5人。以前からラジオでこの映画の宣伝CMを聞いていた限りでは、主題歌の女の子の「悲しくてやりきれない」の歌い方に相当な違和感を感じていたし、フォークルの「悲しくてやりきれない」の寂寥感には、この歌い方では届き得ないだろうと感じていた。しかし本編を観ると相性が良かったんだなあと感じる。うしろで観ていた女の子は終映後ひとり泣いていた。30分掛けてまた寂しい道を駅に戻る。高速バス乗車まであと3時間、暇を潰さなければならない。駅のベンチで「覗くモーテル 観察日記」の本を読む。22時50分、八王子行き高速バス乗車。途切れ途切れ受信する深夜便をイヤホンで聴きながら、上手いことフィットする姿勢を狭い座席内でゴソゴソと模索し続ける。車中、何発か寝っ屁を放った気がする。いやー参った参った。
by koyamamasayoshi | 2017-02-24 01:06 | 日記

2/21

朝7時10分、高速バス和倉温泉駅着。7時19分発のと鉄道穴水行き乗車、8時穴水駅着。雪が降っている。

朝食をとるため喫茶店、コンビニを探し駅前を歩くが見つからない。8時半、Mさんと合流し珠洲市内へ向かう。事務局で実行委員のNさんに会い、3人で作品展示場所の候補地へ向かう。三ヶ所の浜。みなと小学校前の浜、珠洲神社前の舟小屋のある浜、馬牒の浜。小学校前の浜は奥行のある浜でテトラポッドが無く波は穏やかな方だ。漂着物は無い。舟小屋のある浜はテトラポッドに囲まれた小さな浜で、波が舟小屋あたりまで迫ってくる。馬牒の浜は外浦で日本海らしい荒海で、漂着物には事欠かない程流れ着いている。海に注ぎ込む川には漂着物が山ほどある。ロケーションは申し分ないが、作品が波にさらわれる可能性が大きい。
塩田資料館へ寄り、垂水の滝側の食堂で昼食をとる。食後、もう一度、3つの浜を見てまわる。小学校前の浜が良さそうだ。
Nさんに紹介してもらった地元の製材屋に伺った。製材屋倉庫の窓から荒れた日本海が見える。話の流れで、船大工のMさんにご足労願って、作品の船の構造、制作方法等教えてもらったが、かなり実現不可能だという厳しい見解を示された。しかしアドバイスなど出来ることはすると心強い言葉を頂いた。
飯田方面へ向かい、制作場所になりうるガソリンスタンドの倉庫を視察する。次にウレタン塗装の作業の件で看板屋へ行くが、求めているものは出来ないかもしれない。

現状、滞在場所、制作場所が確保出来ていない以上、直ぐに滞在制作は無理だ。その上、車の提供はなく予算内で調達するしかなさそうである。

まつだ旅館に泊まる。風呂前に旅館裏手の海を見に行く。鳶が数羽堤防の上で羽根を休めている。カモメが波打ち際で群れになって佇んでいる。
風が強く波が高い。はたして制作が上手いこと進むのだろうか…。不安が募る。
夕食を食べ終え20時に就寝。疲れきっていた。熟睡と熟睡の間で不安が波のように押し寄せて来てふと目覚める。
by koyamamasayoshi | 2017-02-24 01:02 | 日記

断片の風景

1/11
立川から新宿まで行く中央線車窓、線路に並行する不気味な一直線の飛行機雲がずっと続いている。新宿から先はどこまで伸びていたのだろうか。帰る頃には消えていた。 

1/13
中之条へどんど焼を見に行く。吾妻線車窓、渋川駅駅前のカワウチ美容室。ねじりん棒が良い角度で壁面に取り付けられている。

1/14 
中之条バス停で新宿行きバスを待っている。目の前を走るトラックの荷台に牛が並んで乗っている。どこに行くんだろうか。トラックがドナドナの曲を引きずりながら去って行く。

1/18
浦安の猫実、堀江周辺。猫実の路地へ入ると、木造の屋外便所の家が何軒かあるのがみえる。野良猫多し。郷土資料館から新浦安駅方面に少し歩いた先に水門橋があり、橋の上から川面を見ると破船がみえる。川岸まで行ってしばらく眺めた。川端には無縁仏の墓があった。

1/28
常磐線車窓、神立駅前に広がる取り残された風景。陽射しにやられた飲食店らしき建物。

2/11
夕暮れの特急草津号。ふいに目覚め車窓を眺めると、住宅街の夕闇に発光する赤い十字架が浮いている。人知の及ばない存在が降臨したようでかなりどきりとする。

2/16
家から最寄り駅に向かう線路沿いの道。数名の保線作業員が柵の向こう側で点検をしている。作業員の持っている受信機から「中央 下り 接近 中央 下り 接近 中央 下り 接近」と電車の接近を知らせる音がしている。この人の温もりのない声を録音したかったが、ICレコーダーを持っていなかったのが残念だ。
by koyamamasayoshi | 2017-02-16 23:17 | 日記


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by Koyama Shintoku

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