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12/15

文化放送、大竹まことgolden radio、ハンセン病者の手紙が読まれていた。瀬戸内海の大島。療養者が亡くなった時に、同じ療養者達は「煙になって故郷に帰れるね」と言っていたという。
数年前に大島へ行った。島内スピーカーからずっと、ローレライが流れていたのが忘れられない。
by koyamamasayoshi | 2016-12-17 17:25 | 日記

原点の風景

12月10日 調布飛行場へ出掛けた。調布駅から飛行場行きバスに乗り、15分程で到着する。想像していたよりも綺麗なターミナルの建造物。想像では「男はつらいよ」で寅さんとマドンナの栗原小巻が別れるシーンで映し出される埃っぽい風景だった。
現在、定期航路便は大島、新島、神津島、三宅島へ日に3~4便出ている。
2階の展望スペースへ行くと、子連れ夫婦と老夫婦の二組だけがいた。その隣へ行きガラス窓に張り付き、今まさに飛び立つ小型飛行機にカメラのシャッターをきった。シャッターをきっていてふと、俺はなぜこれを撮影しに来たのかと自問した。なんとなく風景を求めて来たので答えは出なかった。
1階の待ち合いスペースで、テレビに映っていた大河ドラマを見ながら、帰りのバスを待つ。



12月11日 阿佐ヶ谷からバスで中野へ行き、新井薬師まで歩く。眼病平癒の御利益のある仏さんらしく、めめの絵馬があった。昭和新町の呑み屋の通りを抜けて、ぶらぶら新井の辺りを歩いて、同じ路線バスで阿佐ヶ谷まで戻る。
Laputa阿佐ヶ谷で柳町光男監督「十九歳の地図」(1979年)を観る。
この映画を観ながら、かつて俺が18歳から浪人時期に沸々と感じていた、やるせない感情が呼び起こされた。18、19の俺は東京でひどく鬱屈し悶々とした生活送っていた。街中でトナカイの被り物などを被った享楽的な人間等を見ると、仮想の刀でぶった斬っていた。その太刀筋を想像する浪人生だった。
「十九歳の地図」の主人公の吉岡は新聞配達をしながら、配達先の住人を“採点”して、自作の地図上で気に入らない住人宅に×印を増やしてゆく。そして×が2つ3つになる悪質な住人に対して公衆電話から悪戯電話をかける。
俺は浪人時期最も影響を受けたスコセッシの「タクシードライバー」を重ねて観ていた。でも吉岡には、トラヴィスにとっての守るべきものはないし、最終的に英雄にもならない。その救いのないところが俺にとってとても共感できるところだ。

「十九歳の地図」では、同じ新聞配達員で、吉岡と同部屋の紺野さんという30過ぎの男がいる。二十歳の若者の中に混じって、グズグズと生きてきたどうしようもない30男が、もう一人の主人公で、蟹江敬三が演じている。この演技が素晴らしかった。
紺野さんの台詞で「どういう具合で生きていったらいいのかわからないな」というところが何度かある。吉岡もエンディングで同じ台詞を喋る。
吉岡の十数年先の姿は紺野さんだと考えさせられる。それと同時にこの紺野さんの姿は、今の俺だと、気付いてしまった。十数年経っても、俺は、結局何も変わっていなかったようだ。
しかし、かえってその事で、自分が何をすべきかが多少スッキリと見えてきた。原点に戻ったような、あるいは原点からちっとも動いてなかったような…。良いように考えれば変わらない命題を抱えていたような…。

劇中、吉岡が王子スラムに新聞配達をしている時に、親から金を盗んだこどもがボコボコに殴られているところに遭遇する。地図上のその親子の住宅に吉岡は×をつけかけるが、消しゴムで消す。そこが唯一この映画の中で描かれていた基準だった。

東京の風景画を描くという小さな目標があって、その風景を自分がどのように求めているのか少しわからなくなってきていた。
映画を観て、俺が風景画を描くことは、地図を作っていることに等しいと思えた。
そして俺は10代後半に見ていた風景を忘れてはいけないと思った。風景自体というより眼差しを。その眼差しの根幹である、紛らわすことの出来ない感情や、何か別のものにとっかえられない感情を失ってはいけない。



12月12日 渋谷Imageforumへ行きホンマタカシのドキュメンタリー映画を観に行った。中平卓馬を撮った「きわめてよいふうけい」(2004)を観た。ビー玉のような瞳(レンズ)とカメラを持った手だけ(シャッター)のまさにカメラそのもののような。動物的な雰囲気と動きと臭い。スクリーンを通して中平卓馬という人物を初めて知った。
山手線に乗り日暮里へ行く。車内で昨日観た「十九歳の地図」の蟹江敬三を、マスクの内側で少し想い出していた。
日暮里、ニュートーキョーで待ち合わせ時間まで日記を付ける。レジ近くのテーブル席でおじいさんが一人、テーブルに広げた地図にセロテープを、手で切って貼付け補修をしている。老いても地図を作っている。
この爺さんは何十年後先の自分なのかもしれない。そう思うと、俺は一生同じことを繰り返し続けているかもしれないと思った。
by koyamamasayoshi | 2016-12-13 16:37 | 日記

日本の風景

先月末、メキシコから帰国した。先輩のKさんがメキシコにて海外研修制度で留学中で、俺は直接現地へ様子を見聞しに行った。10代の頃から憧れていたメキシコ。その2週間の滞在の記録はあらためてゆっくり追憶して書いて行きたい。



帰国し成田空港から京成線で都心にむけて走る車窓の日本の風景は全くツマラナイものに映る。日暮里駅で下車する。通勤時間帯に行き交う、頭の先からつま先まで黒一色の生気のないうつろな群衆。生まれて初めて海外へ行き、日本を見つめると、こうも脆弱で、画一で、幻想で、亡霊で、衛生的で清潔でツマラナイんだろうと感じる。

少し前に、ある人と話をしている時に、陰翳礼讃の話をされた。俺は恥ずかしながらその時、陰翳礼讃を知らず、「インエイライさん」という中華系の人物の話をしているのだと思って会話を続けていた。美術に関わる人間なら当然知っているものとして、その人は陰翳礼讃というのはね、という前置きすら省いたのだと思う。
本屋で文庫本を買い、荷物に入れて、むこうで時間のある時に読んでいた。
読んだタイミングもあって、とても考えさせられた。そしてこの東京のツマラナイ風景を見ると陰翳礼讃の美意識は、加速度的に消失していったのだろうなあと思えた。

週末、妻と散歩をしながら、建物のデザイン、街のデザイン、看板のデザイン、駅前のデザイン、このくそみたいなデザインで構成された東京の風景に対して、思い付く限りの悪口を吐いた。別に妻がデザインした訳ではないのに、こんな愚痴みたいな事を強制的に聞かされては、たまったもんじゃなかっただろう。しかしこの、誰に対しても害のない、無難な風景を生み出し続けていたら、おしまいだと思ってしまう。もう既におしまいだとも思っているが。こんなことでも昨今は、たちまち「反日」思想か。ああそれが何よりおぞましい。身震いする程に。

こういう都市の景観は俺なんかは極極極少数派で、大多数の人間が享受していることなのだろう。
最近その大多数が受け入れているだろうことが嫌いなことが多い。嫌いというより、いけ好かんことが。
例えば今日も、電車の中で出入口の上のモニターで映し出されていた、「大人のエレベーター」とかいうビールのCMとかがいけ好かんし、おぞましい。なんともいえんイヤらしさがある。隣でまたそんな悪口を言っていると妻が、世の中にあるモノに対しての俺の受け口が瓢簞だと例えてきた。なるほど俺は瓢簞だ。入口が狭い。
逆に好きなものを考えてみる。イヤらしさのない照英とか、さかなクンなどの動物的なものだ。しかし照英や、さかなクンは大多数に受け入れられていそうだ。う〜ん…よくわからん。



帰国して数日経つ内にツマラナイ風景が徐々に当たり前の風景に変わりつつある。俺はその事に不安になり、頭の中から失いつつあるメキシコの記憶の風景を手繰るように、本を読んだり映画を観て、消したくない火を灯し続けている。「戦艦ポチョムキン」のエイゼンシュタイン監督の「メキシコ万歳」、ルイス・ブニュエル監督の「昇天峠」「ブルジョワジーの秘かな愉しみ」「自由の幻想」「皆殺しの天使」「アンダルシアの犬」「忘れられた人々」…。
メキシコシティ郊外のさびしいロードサイドを想い出し、メキシコではないがアメリカン・ニューシネマの「バニシングポイント」に映るロードサイドと、主人公の首回りの淋しさに彼の地をむりやり重ね観る。

絵を描き、文章を書いて、未だに漂い浮遊しているメキシコの記憶を定着していかなければならない。
by koyamamasayoshi | 2016-12-06 21:35 | 日記


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