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一昨日、伊勢原に出かけた時にバスの車窓から高級食パン専門店が見えた。看板に赤ん坊の絵が描かれているのだが、その顔が食パンの形で目鼻口が付いている。店の名前は「君に惚れた」だった。この奇妙な感じ、このえぐさを八王子でも見たことがある。「王道の王道」という店名で、看板は、サバンナに夕陽が沈む風景の中に、人と動物が並んでいて中央のこどもが食パンを高く掲げている絵だ。同じ臭いをぷんぷん嗅ぎ取り、調べてみたら案の定同じプロデューサーが仕掛けたお店だった。
数ヶ月前、日暮里駅の常磐線ホームで電車を待っている時に、大きな真珠のネックレスをした若い男の子がいてギョッとした。気持ち悪いなぁと思いつつ、電車に乗るとまた真珠のネックレスをした別の男の子が乗車していた。1日にしかも同じ常磐線に2人も遭遇するとは何かある。これも帰って調べたら、パール男子とか言われている韓国由来の若者のファッションらしい。
自分は些細な街の変化や類似に目が止まりやすい。やはり2つ以上重なると偶然ではなく、そこに意図や理由があると感じてしまう。
昨夜、小さなゴム版画を数枚制作したので、それを入れる小さな額を買いに昼頃出掛けた。甲州街道の画材屋に割と良いものがあったので一つ購入した。
追分の交差点から裏道に入った先の喫茶店バンビに行った。お客さんは常連らしいおじさんが一人、カウンターで新聞紙を広げていた。入口側のテーブル席に座り、妻はナポリタンとアイスティーを、わたしはクリームソーダを注文した。店内、とても時代を感じさせる雰囲気を醸している。滑らかな木の板が壁にいくつも掛かっていて、白色の丸い書体でブラジル、キリマンジャロ、ブルーマウンテン、コロンビア、グアテマラ、モカ、マンデリン、ハワイコナと書かれている。天井から琥珀色のガラス傘の電球が吊り下がっていて、その灯りが店内をわずかに照らしている。届いたクリームソーダはブルーハワイのシロップのように、まるで染料絵具を溶いた水みたいな鮮やかな水色をしていた。沈みかけているバニラアイスの薄黄色とソーダの水色が混じり合って境目がエメラルドグリーンに変化している。美しく変化も面白いクリームソーダだった。ナポリタンを食べる妻に味の感想を訊くと「なつかしい感じ」と言った。
銀杏が落ち始めている甲州街道を歩いて帰っていると、後方から大きな音楽が近づいてくる。自転車のカゴにラジカセを入れて、そのスピーカーから「四季の歌」を大音量で流しながら走る老人だった。「秋を振り撒いて走ってんのかね?」と妻に尋ねると、「秋だけの歌じゃないからねえ」と言った。自転車に乗ったじいさんは甲州街道を進んで音と共に遠ざかって行った。このじいさんのツーペアは無いだろうから特に意味のあるものでは無いと思う。
by koyamamasayoshi
| 2021-09-13 19:41
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