木製の人魚

…
国立の古書店で数冊詩集を買った内の、大手拓次詩集を能登へ行く旅行鞄に入れていた。
波が激しく打ち寄せる小さな港の宿、布団の上で寝っ転がりページをめくってみると「木製の人魚」という詩が載っていた。
その詩はあたかも昨秋、奥能登で制作した人魚の作品を、大正時代の詩人の眼が時空を超えて見ていたようでどきりとした。一時のバグで過去現在未来がこんがらがり視点が接触することだってあるかもしれない。
この詩人のみたものを想像するとそれはやはり波打ち際に漂着し、フナムシの喰い穴とフジツボに蝕まれ、海藻にたわむれ絡まった木製の人魚像が思い浮かぶのだ。
木製の人魚
こゑはとほくをまねき、
しづかにべにの鳩をうなづかせ、
よれよれてのぼる火縄の秋をうつろにする。
こゑはさびしくぬけて、
うつろを見はり、
ながれる身のうへににほいをうつす。
くちびるはあをくもえて、
うみのまくらにねむり、
むらがりしづむ藻草のかげに眼をよせる。
by koyamamasayoshi
| 2018-02-12 20:17
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