2016/10/12

横浜線で長津田駅、田園都市線に乗り換えあざみ野駅下車。市民ギャラリーあざみ野に「悪い予感のかけらもないさ展」を観に行く。小さなスペースだけど良い作品が並んでいた。
作家の言葉による、作品が生まれる背景などが書かれているリーフレットを読みつつ作品を観ると、その作家個人の等身大から自然と放出される作品は、緩やかに変容しながらも常に力強いなと、当たり前かもしれないけどそんなことを思った。
ブルーラインで横浜駅、京急に乗り換えて黄金町へ。渡辺さんが黄金町での現地滞在制作を経て作品を公開している。
作品まで辿り着く導入が欲しくて、一駅先の南太田駅で降車し、川沿いを歩いて会場へ行く。途中、ゴミ捨て場に写真アルバムが一冊捨ててあった。表紙に「収集日を確認して出して下さい」みたいなことが書かれていた。50mくらい歩いた先でどうにも気になり引き返して開いてみた。中身はおそらく80年代だろうか、若者たちの集合写真が数枚挟まっていた。別に引き返してまで見る物でもなかった。
高架下のメイン案内所みたいなところで観覧パスポートを買って、さっそく渡辺さんの作品を観に行く。俺は今まで、渡辺さんが作品を制作中の姿を見たことがなかったかもしれない。
会場の一角に滞在中の作業場がそのまま展示されていて、その作業机の上に壁付けの棚があり、そこにモニターがある。滞在中の作業姿が映し出されている。作業の中でゴムハンを振り下ろしている場面があり、その後しばらく思考して固まっている。熊のような大男のなべさんであるが、次の手を思考するそのうしろ姿は、妙に美しいと思った。
一角にあるのは、自身の生身から放出された言葉を書き付けたコンクリ板と、それに付随するコンクリ扉で、作者本人の言霊ゆえの比較にならない程の重力をズシリと感じる。それは、突破する膨大なエネルギーの凝縮かもしれない。
路地裏の一軒家で展示している。その真向かいに、もうおよそやっていないだろう木賃宿がある。これを見た時に俺は「天国と地獄」での、山崎努が中毒者にヤクを試すドヤの姿が重なった。
滞在中、この宿の前を通り、常に目の端にありながら制作していたのだろうか。それが直接的に作品に作用したわけではないだろうが、滞在制作において、黄金町という土地に染み込んだものを、けっして離しはしない存在だったのではないかと勝手に想像した。
高架下の道、呑み屋の店先に座ったじいさんが、自身のこめかみの横にグーを持っていき、俺を見ながらグーをパーにしてメッセージを送ってきていた。
by koyamamasayoshi
| 2016-10-13 02:39
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