2016/10/10

先々週、作品の制作中に痔を再発させてから気が沈んでいる。「こころの隙間お埋めします」の喪黒福造の声が頭に何度も再生するほどに、こころにすきま風が吹き抜けている。虫食い穴の枯れ葉のようだ。
ひとは沈んでいる時、何で埋めるのかな。街を歩き電車に揺られながらぼんやりと思った。もっと長く、人生を何で埋めるのかなと。

新宿に着き、ツタヤで十数本映画を借りた。気持ちが弱っている時、誰かの作品、表現におもっくそ向き合いたくなる。

成瀬巳喜男「女の座」「夜ごとの夢」、山中貞雄「河内山宗俊」、谷口千吉「ジャコ万と鉄」、勅使河原宏「砂の女」、清水宏「しいのみ学園」、村野鐵太郎「鬼の詩」、小栗康平「泥の河」、五所平之助「雲がちぎれる時」、川島雄三「愛のお荷物」、野村芳太郎「疑惑」、瀬川昌治「喜劇団体列車」、黒澤明「天国と地獄」、蔵原惟繕「憎いあンちくしょう」などを借りた。大半がDVD化されていないVHSだ。
無意識に監督を縦軸に、役者を横軸にして作品を選ぶ。だいたい縦軸の監督作品で選ぶが、この役者を別の作品で見てみたいなと思うと横軸で選ぶ。三橋達也、藤原釜足、伊藤雄之介、小沢昭一、木村功、三国連太郎、山田五十鈴、木暮実千代、花井蘭子、粟島すみ子、芦川いづみ、津島恵子、北林谷栄等の名前がパッケージ裏に書いてあるとなんだか観たくなる。

「喜劇団体列車」は渥美清主演の喜劇列車シリーズの2作目。1作目の「喜劇急行列車」の内容が、三国連太郎主演の「大いなる驀進」と似ているが、「急行列車」の方が人物描写が丁寧でなかなか良い。というよりも「大いなる驀進」の心理描写には少しついていけないところがある。
「団体列車」は一作目と設定が変わり、助役試験になかなか合格しない愛媛県の国鉄職員を渥美清が演じている。その母親を、「男はつらいよ」と同じでミヤコ蝶々が演じている。助役試験にことごとく落ちてケーブルカーの職員になった元国鉄職員を笠智衆が演じている。
一発で助役試験を合格した生意気な若造職員が、その笠智衆を侮辱する場面で、若造職員に対して激昂する渥美清がカッコいい。同時にポロポロと涙がこぼれ落ちるほどこころを揺さぶられた。

数日前、大河内傳次郎主演の「三万両五十三次」を観た。とにかく大河内傳次郎が好きなんだけど、話の内容に惹き込まれるし、心地いいリズム感の映像でとても良かった。加東大介が盗賊役で出てるんだけどむちゃくちゃカッコいい。
渥美清といい、加東大介といい、首が太くてずんぐり体系で、顔もそんなだけど、カッコいいんだよなあ。
by koyamamasayoshi | 2016-10-13 02:13 | 日記


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