モノとモノ

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先週から、東京藝術大学裏、大黒天近くの骨董店「EXPO」で作品を数点並べている。2ヶ月前、オーナーのKさんから、この展示の話をもらった時、直ぐに心の中でやろうと決めていた。

大学在学中、ここの前を毎日のように通っていたが、入店したことはほとんどなく、品物を買ったことは一度もない。
ここのものを買ったら、俺は負けだと思っていた。
そりゃあ、面白いものが在るのは、店の中から漏れ出る雰囲気で十分わかる。しかしそれを受け入れ、認めてしまうことは、物を作る人間が持つ何か大切な部分を捨て去って、代わりに愛想笑いをするような情けなさを手に入れるような気がしたのだ。
ひとの美意識を通り抜けたものを受け入れることは、いつまでたっても俺には何だか抵抗がある。やはり骨董市で並んでるものの中の、一回ゴミ箱に入っているようなものに、「お前良し」の美の烙印を与えてやりたい。

1ヶ月前、Kさんと打ち合わせでお会いした時、口火を切るように「学生の時、EXPOに入らなかったでしょ?」とズバリ、的の中心をズバっと不意に射られた。上に書いたような返答をすると、「そういう人だと思った」と何故か確信めいた笑顔で言われた。

タイトルが「芸大×EXPO展」。×の部分に対決色濃厚と判断し、学生時代の遺恨マッチ(それは、どろどろの恨み合いではなくて、昭和プロレスが持っていたような感覚)だと考え出品させてもらった。後に知ることだが、対決と捉えていたのは俺一人だけだったが。
果たしてあのEXPOのゴチャゴチャの博物館の収蔵庫のような空間に、潜入した俺の作品は、コンセプトを抜きにした、モノとモノの衝突の先にどういう存在であるのだろう。骨董品と混在する展示で、そこが新たな発見をもたらしてくれるかもしれないと期待している。
by koyamamasayoshi | 2016-10-13 01:41 | 日記


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