出来上がった巣 すでにあった巣

2015年9月12日
本日、なんとか作品を公開する事が出来た。
前夜、最終チェックで全部の照明ライトを点け、一人鑑賞している中、2灯照明電球が切れていることに気付いた。いろいろと思い当たる所に連絡したがなく、朝ホームセンターへ行くかと諦めていたところ、深夜事務局から2灯都合つくという連絡があり一安心して寝た。
朝、オープン前に電球を交換し、展示会場横の十二の杜という山の神様を祀る楢の巨木へお参りし、作品の一ヶ月間の無事をお頼み申し上げた。
9時半、自分の展示会場の家主さんと赤岩地区の展示会場の湯本家へ行った。家主さんとここへ来た理由は、自分と同じ長期滞在だった作家の古川葉子さんが展示していて、我らが滞在中家主さんから野菜や、調理した物を沢山いただき親しくなったからである。古川さんは木彫の作家である。2、3度作業中の作品を見たきりで完成したものは今日初めて見た。3ヶ月の悲喜こもごものノミの一打一打が自分には感じられた。あと怒りもか。それに加えこの地で、縄を綯う技術を古老に教わったらしくワラ、クワの皮を綯ったもので、木彫を支え、人を寝転ばせ支え、空間を支えている。木彫の作品を喰うことなく、この地の手技を取り入れた事で作品全体に山で暮らす人間の営みの痕跡と深みを与えていた。
湯本家は3階建ての旧家で、ここでは9人の作家が展示している。2階に展示している小林正樹さんの作品で、とても気になったものがあった。それは大戦中の盃である。盃の内側に軍艦などが描かれ、ひっくり返したものもあり、それをみると鉄兜のようで、そのてっぺんにゼロ戦が立体的に浮きだしている。盃は膳の上に円を描くように配置されており、中央にとっくりが置かれていて、そこに小林さんの彫金、鍛金で制作した四葉のクローバーの一輪挿しが活けてある。四葉の中の一葉にドクロが刻み込まれている。
きのこ雲だと思った。形はきのこ雲ではないが、ドクロを見た瞬間、タツノコプロの爆煙を連想したからだ。
その他の作品でとても気になったのは、栃岡陽麻里さん、冨安由真さんの作品空間内に置かれていたクワヅルである。これは滞在中追い求めていたもので、昔、山仕事で使う道具の一つである。古老から名前だけは訊いていたがようやくお目にかかれた。一般的な鍬の構造であるが、土をかく鉄板部分がやたらと長い。刃の反対側に板が付いていてここを踏み込み、ぐっと土中深く差し込めるようになっている。
10時半、赤岩地区のお祭りに手伝いで参加し、13時半頃までひたすら、にくとモツを焼いた。
家主さんの娘さんに作品の一部が倒れていると教えてもらい、展示会場までの山道をぶっ飛ばした。
今回の作品は一部、接着剤や釘を使用せず、組んであるだけの状態のところがある。被害は少なかったが、今後もありそうだと感じた。対策を打たなければならないだろう。
15時半、山を少し下った所の宿舎の横にあるかふぇ蔵というカフェへ行き、アイスティーとハンバーグカレー、すいとんをいただいた。ここの女将さんにも滞在中、差し入れを沢山貰いお世話になった。
3時間ぐらい話をする中、大戦中の紙類を見せてもらった。とても興味深いものが続々出て来たが数行でまとめるのはもったいないので今度書き記したい。小林さんの作品で出て来た盃がここにあったものと聞いてなるほど頷けた。
18時半閉場した自分の会場へ様子を見に行く。
宿舎へ戻り、ビールを飲みながら男はつらいよを観て静かに開幕を祝う。
台風が関東を北へ突き上げて行った日、雨漏り対応で屋根裏にはじめて上がった。雨音が激しく屋根を叩く中、懐中電灯の灯りの先に直径50cmくらいのこんもりした巣があった。大きさにもビックリしたが、先に棲んでいるものが居た事にとてもビックリした。おそらく屋根や壁をたまに来ては連打していたキツツキの巣だろう。
巣穴から入るものだけで拵えるという、まだアイデアにも満たない作品へ繋がりそうな言葉が頭に浮んだ。
by koyamamasayoshi
| 2015-09-12 21:47
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