12月12日
渡辺篤個展へ行く
新宿で電車を降り、御苑脇の模索舎で本を買う。「黒子のバスケ」脅迫事件の獄中手記、柳田邦男の禁忌習俗事典。山手線で渋谷乗り換え、田園都市線で一駅池尻大橋で降りる。大学の先輩でNANJO HOUSEで個展をしている渡辺篤の「止まった部屋 動き出した家」を見に行く。本を買った為財布には1000円一枚のみ。行きしなにあるコンビニで缶ビール2本とナッツを買い差し入れとした。事前予約制の展示の為予約時間の5分前に到着した。会場内に響くノコを挽く音と、全面セメントで塗込められた家がある。そしてその家は傾いている。作品解説を訊くとナベさんは初日の7日からその家にひきこもり外界との接触を断っておるという事だった。押し入れほど広くない密室で、さほど多くないであろう飲食料と4ヶ所の通気口、人工灯とノートpcが生命線となっている。中の様子は伺い知れないが、センサーで、中に動きがあるときは家上部に吊るされたライトが灯っている。
差し入れを持参した自分が恥ずかしくなった。そんなところで戦ってないのだ。
夏頃、浅草橋と秋葉原の中間地でやっていた氏の「ヨセナベ展」には感じられなかった張りつめた空気、差し迫った空気を今回の展示で感じ、寒気がするほどだった。
自身を密室に閉じ込める行為を作品にしたものが過去にあったのは知っているが、それは身体性に寄るところが大きく、それは「ひきこもり」ではないだろう。
自分にはひきこもり当事者の心情はわからない。わからないがタヂカラオが強引にひきずり出そうとしてもアメノウズメが裸で躍っても、届かない深い闇に沈んだ難しい問題なんだと思う。
作品詳細テキストの一文に「自身のタイミングでカナヅチとノミを使い、扉型の壁を割って外に出る」とある。この自身のタイミングでという部分にとてもメッセージ性を感じる。
セメントで塗込められた傾いた家は、震災の津波で流される様を表現している様にみてとれ、展示会場の灰色の床にプカプカと浮いているように見えた。それは映画今村昌平の「人類学入門」、主人公スブやんが川上に繋いだダッチワイフ研究所のオンボロ小屋が、研究に没頭するあまり流されているのに気付かず大海原に出るエンディングのシーンに重なって見えた。何故ならその傾いた家が今にも大海原に進みそうで、希望を乗せた舟にも見えるからだ。
新宿で電車を降り、御苑脇の模索舎で本を買う。「黒子のバスケ」脅迫事件の獄中手記、柳田邦男の禁忌習俗事典。山手線で渋谷乗り換え、田園都市線で一駅池尻大橋で降りる。大学の先輩でNANJO HOUSEで個展をしている渡辺篤の「止まった部屋 動き出した家」を見に行く。本を買った為財布には1000円一枚のみ。行きしなにあるコンビニで缶ビール2本とナッツを買い差し入れとした。事前予約制の展示の為予約時間の5分前に到着した。会場内に響くノコを挽く音と、全面セメントで塗込められた家がある。そしてその家は傾いている。作品解説を訊くとナベさんは初日の7日からその家にひきこもり外界との接触を断っておるという事だった。押し入れほど広くない密室で、さほど多くないであろう飲食料と4ヶ所の通気口、人工灯とノートpcが生命線となっている。中の様子は伺い知れないが、センサーで、中に動きがあるときは家上部に吊るされたライトが灯っている。
差し入れを持参した自分が恥ずかしくなった。そんなところで戦ってないのだ。
夏頃、浅草橋と秋葉原の中間地でやっていた氏の「ヨセナベ展」には感じられなかった張りつめた空気、差し迫った空気を今回の展示で感じ、寒気がするほどだった。
自身を密室に閉じ込める行為を作品にしたものが過去にあったのは知っているが、それは身体性に寄るところが大きく、それは「ひきこもり」ではないだろう。
自分にはひきこもり当事者の心情はわからない。わからないがタヂカラオが強引にひきずり出そうとしてもアメノウズメが裸で躍っても、届かない深い闇に沈んだ難しい問題なんだと思う。
作品詳細テキストの一文に「自身のタイミングでカナヅチとノミを使い、扉型の壁を割って外に出る」とある。この自身のタイミングでという部分にとてもメッセージ性を感じる。
セメントで塗込められた傾いた家は、震災の津波で流される様を表現している様にみてとれ、展示会場の灰色の床にプカプカと浮いているように見えた。それは映画今村昌平の「人類学入門」、主人公スブやんが川上に繋いだダッチワイフ研究所のオンボロ小屋が、研究に没頭するあまり流されているのに気付かず大海原に出るエンディングのシーンに重なって見えた。何故ならその傾いた家が今にも大海原に進みそうで、希望を乗せた舟にも見えるからだ。
by koyamamasayoshi
| 2014-12-12 23:23
| 日記
小山真徳 展覧会情報
by Koyama Shintoku
カテゴリ
全体展覧会
日記
最新の記事
背中 |
at 2022-12-14 21:22 |
9/29 |
at 2021-09-29 20:47 |
9/27 |
at 2021-09-27 23:48 |
9/26 |
at 2021-09-26 16:38 |
9/25 |
at 2021-09-25 15:22 |
以前の記事
2022年 12月2021年 09月
2021年 08月
2021年 07月
2021年 06月
2020年 07月
2020年 04月
2020年 03月
2020年 02月
2020年 01月
2019年 12月
2019年 11月
2019年 07月
2019年 01月
2018年 12月
2018年 10月
2018年 09月
2018年 08月
2018年 02月
2018年 01月
2017年 12月
2017年 11月
2017年 10月
2017年 09月
2017年 08月
2017年 07月
2017年 06月
2017年 05月
2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2015年 11月
2015年 09月
2015年 07月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2014年 12月
2014年 10月
2011年 08月